来談者中心療法
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来談者中心療法について
カール・ロジャースが開発したカウンセリング技術で、正に、カウンセリングの基本と言ってよいかと思います。カウンセラーと名乗る人で、この療法を使えない人はいないのではないでしょうか。それほどまでに有名で、カウンセリング=来談者中心療法と考えている人も少なくありません。覚えやすく使いやすいのが特徴です。と同時に、奥は意外に深く、単純であるように見えながら、非常に難しい…という一面をも持ち合わせています。私は普段、主にこの来談者中心療法を用いてカウンセリングを行っています。28年、18,000件を超える臨床経験の中で、この療法の力を何度も目の当たりにしてきました。
来談者中心療法とは
この療法の骨子として、「人は誰でも、自らの内部に、自己を成長させ、実現する力を持っている」があります。すなわち、「カウンセラーがクライエントの気持ちを受容し、共感的に理解すれば、クライエントは自らの力で、立ち直っていくであろう」という考えです。もっと乱暴なほど簡単に言えば、「ただただ、クライエントの話に耳を傾けよう」という療法です。
「えっ、ただそれだけ!?」と驚かれる方は少なくないと思います。しかし、実際、この療法の効果は素晴らしく、目を見張るものがあります。私が思うに、訪れるクライエントの6〜7割の方は、この療法で回復するのではないかと思います。逆に言えば、それほどまでに私たちは、普段誰からも話を聞いてもらえないのだということがおわかりになると思います。もちろん聞いてもらえることもあるでしょう。けれど、多くの場合は、話せば話すほど、後で聞きたくもない忠告や説教を聞かされ、理解されていないという不満ばかりが、あとに残る結果になるのではないでしょうか。
問題を抱えている人の多くは、必ずと言って良いほど、情緒的な混乱と、深い孤独感を持っているものです。悩んでいる人は皆、「どうしていいかわからない、自分自身、どうしたいのかさえわからない。こんな深い哀しみや苦しみは誰にも理解されないし、私は孤独だ」という思いを、頭の中でグルグル巡らせているようです。話をすれば、そして聴いてもらえれば、頭の中は少なからず整理されるものですし、理解されたことによって、孤独感はかなり安らぐものです。来談者中心療法は、一度体験すればその威力に驚かれるのではないかと思います。
「痛かったねぇ」のたとえ
少し例をあげて説明します。
「お母さん、ころんじゃった。痛いよー。」と泣いて訴えている子に、
「痛いのは当たり前だ」
「泣いても痛みなんか消えない」
「転ばないように気をつけなさい」
と言ったところで、その子の痛みが治まるでしょうか? 気が晴れるでしょうか? むしろ、わかってもらえない悔しさ哀しさで、よけいに痛くなるし、哀しくなるのではないでしょうか?
そんな時、「それは痛かったねぇ」と優しく言われたら、どんなに心安らぐことでしょう。
この「痛かったねぇ」という言葉かけが、すなわち来談者中心療法なのです。この言葉かけは、なんのアドバイスにもなっていません。それでいて、確実に効果があります。「痛かったねぇ」と言われた子の多くは、しばらく泣いた後で、「これから、ころばないように気をつける」と自ら解決策を言って、元気を取り戻すものです。
言われみればなるほどですが、こういう言葉かけができない人は、実に大勢います。何故ならそれは、大変に難しいことだからです。そう、人の気持ちを理解するということは、非常に難しく骨が折れることなのです。
「話を聞くのは簡単だ」と言い放つ人は、人の話を真剣に聞いたことがないのではないかと思います。実際、カウンセリングの実技を行うと、ほとんどの方は、「いやあ、人の話を聞くのがこんなに大変なことだとは知りませんでした」と言います。そう、人は、話を聞くと、つい何か言ってやりたくなってしまう生き物なのです。
「〇〇の相談に行ったら、『あなたが悪い』とか、出来そうもないことをやれとか言われて、よけいに落ちこみました」と聞くことがあります。そういう、人を混乱させることを言うのは、カウンセリングを全然学んだことのない人であると断言してよろしいかと思います。そういう意味では、カウンセラーはアドバイザーではありません。
カウンセラーに必要な態度・条件
1.自己一致
2.無条件の積極的関心と尊重
3.共感的理解
これら3つの条件が満たされたとき、クライエントは、より深く自分の感情や態度を探り始めます。以前には気付かなかった自分の面を発見するようになり、さらに自分を大切にするようになり、自分の声に耳を傾けるようになります。そうして、自己を否定する態度から自己受容する態度へと移行していきます。
クライアントの方にお願いしたいこと
来談者中心療法は、カウンセラー側の態度だけで成り立つものではありません。クライアントの方にも、次のような姿勢で臨んでいただけると、この療法の力がより発揮されます。
1.思ったことを、そのまま言葉にしてみる : 整理された話でなくて構いません。感情の混乱や矛盾も、そのまま口に出していただくことが、回復への一歩になります。
2.答えを急いで求めない : 私からアドバイスや正解を差し出すことは、多いとは言えません。カウンセリングは、ご自身の中にすでにある力を、時間をかけて一緒に探っていく場だとご理解ください。
3.沈黙を怖がらない : 言葉が出てこない時間も、大切な過程の一部です。無理に埋めようとせず、そのままにしていただいて大丈夫です。
4.ご自身のペースを尊重する : どこまで話すか、何を話さないでおくかは、常にクライアントであるあなた自身が決めてよいことです。
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カウンセラーが教える「自分が好きになる方法」
