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カウンセリングの失敗

カウンセリングの失敗

カウンセリングの成功率は、7割とも8割とも言われています。
これは、世界的に有名なカウンセラーでも、そう言いますし、日本を代表するカウンセラーでもそう言いますので、やはり、そのくらいの確率なのだろうなあ…と、私も思います。

 

時に、「私は、失敗したことがない」と言う自称カウンセラーの方がいますが、
なんて無邪気な方なんだろうと呆れてしまいます。

 

ここで、「失敗ってなんだ」ということを、書いてみたいと思います。

 

失敗のほとんどは、クライエントが通わないということです。
これは、私もよく経験するところです。
1度で問題解決する人は、いいのですが、( こういう方も、もちろんたくさんいらっしゃいます)「この人は、少し通った方がいいなあ 」と思う人が、その後、通ってくれないのです。「今度また電話して来ます」と言って、そのまま来ない人。予約しておきながら、「用事が出来ましたので、行けれなくなりました」と言って、そのまま来ない人。断りの電話もなく、そのまま無断キャンセルする人。
いろんな方がいますが、要するに、私がクライエントに対して、通う意欲を与えることが出来なかったのです。

 

これには、いろいろな原因があると思います。
1番多いのが、「 期待して行ったのに、先生は1回で、私の症状を治してくれなかった」という人だと思います。次に多いのが、「 先生は、特に、いいアドバイス、目から鱗が落ちるようなアドバイスをくれなかった」という人だと思います。その次に多いのが、クライエントが、まだアドバイスを受け入れる心の準備が出来ていないのに、私自身が焦ってアドバイスをしてしまい、クライエントに反発される場合です。

 

他に、考えられる原因として、「 先生は、私の話を熱心に聞いてくれなかった」「生理的に、先生のことが嫌い」があると思いますが、そういう方は、希望的観測ではありますが、ごく少数なのではないかなと思います。

 

カウンセリングは、魔法の杖ではありませんので、クライエントが長年苦しんでいる症状を、いくら専門家と言えど、そう簡単に治すことはできません。せめて5回ほどは通っていただければ、少しは症状を緩和できると思うのですが、そんなのは、タラレバの話でカウンセラーの失敗に対する言い訳だと思います。

 

次に、アドバイスをあげない理由は、2つあります。
ひとつは、いいアドバイスをカウンセラー自身が思いつかない場合。もうひとつは、いいアドバイスが思い浮かんでも、「まだ、この人には、伝える時期ではない 」とカウンセラー自身が判断し、アドバイスを与えない場合です。

 

本人がまだ、精神的に混乱している興奮している、感情的になっている場合は、伝える時期ではありません。「 本人が受け入れられるかどうかは本人の責任であるので、取りあえずアドバイスしてみては…」とおっしゃる方がいますが、それは、プロとして無責任だと思います。アドバイスする時期が早過ぎるために失敗に終わるという経験は、新米カウンセラーが最も多く陥りやすいところです。

 

次に、適切である、アドバイスが思い浮かばない最大の理由は、決定的に情報量が少ないということです。1回のカウンセリングで、話を聞く時間は限られているので、カウンセラーが適切な判断が出来ないということです。もしも、カウンセリングを5回は必ずする、という条件を与えてくれたら、私も含め、どのカウンセラーも、失敗は1割前後になるのではないかと思います。そう考えると残念でならず、私のところも、チケット制を導入して、最初に10枚綴りのチケットを買っていただこうか、と思ってしまうことも少なくありません。

 

次に、カウンセリングの流れ、標準的な流れを、ここに書いてみたいと思います。
1回目。クライエントが話をします。今までの経過をカウンセラーに伝えます。
2回目。クライエントが、前回、言いたりなかったことを、更にカウンセラーに伝えます。
3回目。言いたいことを概ね言ってしまいます。それでもカウンセラーは、さらに話を聞こうとします。このあたりが、クライエントにとって一番きついところです。この時点で、「 本当に、カウンセリングは、私の役に立つのだろうか?」と迷ったりする人は、少なくありません。
4回目。時に、沈黙を多く経験します。ここも、クライエントにとって辛いところです。やがて、クライエントは、自分でも思ってもみなかったことを話し出します。表面的な話から、より深い話をするようになった証拠です。
5回目。4回目とほとんど同じようなカウンセリングが続きます。このころから、「 カウンセリングらしくなってきた」と、言えるのではないでしょうか。
6回目。クライエントに、少しずつ深い洞察・気付きが生まれ始めます。
7回目。それとともに、カウンセラーから、指示をもらうようになります。
8回目。症状が緩和されている事実に気がつき始めます。
9回目。さらに症状が緩和されていきます。

 

上に述べた例は、最も多い一般例です。
誰もがこの道程を通るとは限りませんし、通り過ぎるスピードも人それぞれです。
また、各回の特徴は、こんなにハッキリとは区別されません。

 

カウンセリングは、失敗したくないものです。
「 2~3割の失敗は仕方ないことだ」と、いくら先輩に言われても、やっぱり私は、なんとしても避けたいものだと思ってしまいます。失敗したクライエントのことは、私自身、なかなか忘れることができません。思い出しては、胸がチクチクと痛みます。私も一生懸命一生懸命、命がけで努力いたしますので、これからカウンセリングに行こうと思ってらっしゃる方も、どうぞ2~3割の人に入らないよう、ご努力していただきたいなと思います。

 

カウンセリングは、2人で作るものです。
お互いがうんとうんと努力して、失敗を防いでいきましょう。それから、理由があって、カウンセラーを見捨てるというか見限るというか、通わないでおこうと決心されたら、そのことは、ぜひカウンセラーに伝えた方がいいと思います。「カウンセリングで治るとは思えない」「こんなのは、時間と費用の無駄だ」「あなたの態度が気にくわない」等々。

 

その行為は、あなたの将来において、大きな糧になります。次のステップになります。また、こういう発言から、初めて本音で話し合えるきっかけになったということで、実のあるカウンセリングが始まったという経験も、私自身もたくさん持っています。ぜひ、勇気を出して言って欲しいと思います。

 

 

心の金曜日


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