社会資源

不登校

不登校

不登校について書きたいと思います。
何年ぐらい前でしょうか、不登校という言葉が生まれたのは? 
その前は、登校拒否という言葉が使われていました。

 

そして、「学校に行かない、学校に行くことを拒否している奴は、サボっているんだ、怠けているんだ、甘えているんだ」と考えられていました。登校拒否の子どもが増えてくると同時に、「いや、そうではないのではないか?」という考えが生まれてきました。いわゆる「学校に行きたがっている子、学校に行くことを拒否しているわけではない子も、学校に行くことができなくなっているぞ」という視点が生まれてきたのです。

 

専門家は、その視点に飛びつきました。いかにも進歩的な考え方のような気がしたからです。それで、登校拒否という言葉の代わりに、不登校という言葉が使われるようになりました。でも、私から言わせれば、今も昔も、学校に行くことを拒否している子はいますし、学校に行きたいのに行けれない子もたくさんいるということです。どっちかに決めつけるなんておかしいじゃないか、と思います。

 

不登校には、おおまかに言って、3種類の型があります。
学校に行きたいのに行けれない、神経症タイプ
学校に行きたくない、怠けタイプ
生きる気力そのものがない、うつ病タイプもしくは 無気力症タイプ

 

それぞれのタイプに合わせて、カウンセラーはご両親と協力して、対応を考えていかなければなりません。時には、薬物も必要でしょう。タイプが違うのですから、同じ対応でいいわけはありません。

 

ところが、専門家と呼ばれる方の中でも、3種類のタイプがあるということがわかってない人がいます。(私から言わせれば、そんな人、専門家ではないのですが…)それで、あけてもくれても誰にでも、同じ方法を使い、同じ指導をしています。「もっと愛情を与えなさい」とか「もっと厳しくしなさい」とか、なんのこっちゃです。

 

神経症タイプの子に、怠けタイプの子を治す治療法を試みたり、怠けタイプの子に、神経症を治す治療法を試みたりしても、うまくいくはずはありません。たまたま症状と方法が合えば、子どもは回復に向かうのですが、合っていないと症状はますますひどくなってしまいます。

 

また、親御さんの中には、あくまでも自分たちの力で何とかしよう、直そうと考える方がいらっしゃいますが、なかなかそうは簡単にはいきません。ご両親に直す力があるのなら、最初から、その子は不登校にはなっていない筈です。ですから、自分の子が不登校になったら、すぐに専門家に相談すべきです。恥ずかしいことではありません。指示を仰ぐべきです。私はそう思います。早いに越したことはありません。

 

また、「1回行って、治し方、方法を聞いたからいい」というものでもありません。子どもの様子は、刻々と変化していきますので、その時々に応じた対処の仕方があります。私が、定期的にカウンセリングを受けるべきだというのは、そういう理由からです。

 

 

「何故、不登校生がこんなに増えたのか?」
よく聞かれる質問ですが、それは、未熟な親が増えたからだと言っていいかと思います。もちろん、学校や社会にも問題はあります。でも、大半は、親の責任です。最近、メディアを賑わす、児童虐待も同じことです。(チャイルドマザーの増加)

 

乱暴なほど簡単に言ってしまうと、親が、甘えさせるべき時に甘えさせず、甘えさせるべき時でない時に甘えさせた結果が、不登校という子を生み出したのだと思います。それと、もうひとつは、これも見逃せない要因ですが、不登校児に対する社会の容認です。昔なら、怒られてしぶしぶ学校に行き、不登校にならずに済んだ子が、「行きたくないのなら行かなくても良い」と、変に周囲から理解され、不登校児になってしまったケースの急増です。

 

私がこういうことを言ったり書いたりすると、強く反発される方がいます。その一方で、「私たちの育て方が間違っていたんだ」と自分を責め、落ち込む方がいます。そうです、不登校の子を持つ親の大半は、開き直るか、落ち込むか、のどちらかです。極端な考え方に走る人が少なくありません。でも、そんなことをしている暇はありません。早く、子どもを救ってあげて下さい。将来、本当に困るのは、子ども自身なのですから。

 

 

ここに、中日新聞があります。不登校の記事が載っています。
現在、中学生は、38人に1人の割合で不登校(理由もなく2週間以上、欠席している子)だそうです。中学で不登校だった子が、その後、どうなっているか? 追跡調査した結果が載っています。3,300人に調査票を郵送し、1,400人から回答をもらっています。(42.4%の回答率) 20歳の時点で、正社員として働いている人は23%、パート・アルバイトをしている人が31%、専門学校も含めて何らかの学校に行っている人(勤労学生も含む)が28%、そして、学校にも行ってないし働いてもいない、何もしてない人が23%です。快く、アンケートに答えてくれた人ですら、こうなのですから、アンケートに答えなかった人も含めると、何もしてない人のパーセンテージは、もっとあがるだろうと思います。つまり、中学時に不登校だった子のうち、4人に1人以上は、20歳の成人を迎えても何もしていない人になってしまうのです。

 

私は、親御さんを不安にさせるために、こんなことを書いているのではありません。不安になる暇があるのなら、不登校児をこれ以上増やさない努力をして欲しいと思うのです。できることは少なくないと思います。

 

 

最後に、
不登校を治す鍵は、登校刺激の与え方といってよろしいかと思います。そのうち、行くだろうという考えでは、いたずらに時が流れるばかりです。(もちろん例外はあります)登校刺激とは、「学校に行きなさい」と促すことです。
いつ、どのタイミングで、どのくらいの強さで「行きなさい」と促すのがいいか、非常に難しい問題です。登校刺激を与えるタイミングを間違えると失敗します。早くても遅くてもダメです。また、登校刺激の量や・質も問題です。どんな言い方をすればいいか、どのくらい強く言えばいいか、学校にはどう協力してもらうのがいいか、というのは、非常に重要です。神経質になる必要はありませんが、慎重に進めたいものです。私が専門家に相談した方がいいという理由は、そういう理由からです。

 

私は、「不登校もひとつの選択だ」と言う気はありません。
私は、「不登校も、その子のりっぱなひとつの個性だ」と言う気もありません。
(言ったら、なんか頭良さそうだし、理解ありそうだし、カッコいいなあと思うのですが、そんな無責任なこと、よう言いません)かつて、不登校児で、そして、今も対人関係で悩み苦しんでいる人を、私はいっぱい知っていますから…。

 

 

★ 不登校・引ひきこもり解決DVD
※ 上記からDVDを購入下さった方には、もれなく私から特典(スペシャルボーナス)をお付けします。スペシャルボーナスの表示が出ていることをご確認の上、お買い求め下さい。

 

 

 

追加文章
不登校から、そのまま引きこもりになる子どもがいます。
そういう子には、次の3つの性格特徴と1つの外的環境があります。

 

性格特徴
①自己評価が著しく低い。自分は取るに足らない人間だと信じている。そして、自分を守るため、変なプライドを持っています。
②極端なほどの完璧主義者。白か黒か、100点か0点か、というものの考え方をします。「遅刻するくらいだったら、最初から行かない方がましだ。」「早退するくらいだったら、最初から行かない方がましだ。」等など。
③他人からの評価に非常に敏感である。常に自分は、他人からどう見られているか気にしています。
子どもの養育者である方は、子どもが上記のようなものの考え方を持たないよう、気をつけねばならないと思います。

 

次に、外的環境は、なんと言っても子ども部屋です。
子ども部屋にテレビ・ステレオ・クーラー・冷蔵庫などがあり、そこが個室(他の兄弟は使わない)であると、引きこもりになる可能性が高くなります。この件に関しては、私の著書「子どもを育てるとっておきのメッセージ」に詳しく書いてあります。

 

 

平成12年度、小中学生の不登校生、全国で13万4,000人。
(そのうち、小学生が26,000人。昭和40年から60年頃までは、3,000人から4,000人で横ばいだった。一方、中学生は、昭和の終わり頃までは、40,000人から50,000人だった。)
現在の不登校生、救出可能なのは、30%ぐらいではないか。後は、どうしようもない…。
幼少期の頃に刷りこまれるべきもの(親による無償の愛)が刷りこまれていないから…。
20歳~40歳過ぎまでの引きこもりは、現在100万人いるといわれている。後、10年すると200万人になっているかもしれない。 森下神経内科診療所所長  森下 一

 

 

心の金曜日

 


ホーム RSS購読 サイトマップ
トップページ 自己紹介 カウンセリング 講演・研修 著書 社会資源 連絡先